混沌の1947年。犬神家の因司の裏側で、激動の未来へとテイクオフした近代音楽の地層
今期の朝ドラでお馴染み、笠置シヅ子さんの代表曲は“東京ブギウギ”。1947年、敗戦国日本の復興を象徴する大ヒット曲となりました。映画“犬神家の一族”冒頭、金田一耕助が依頼先である田舎の寂れた宿に到着した折、入口前の宿主部屋から流れていたのもこの曲でした。宿の主人役は何と原作者横溝正史が演じていました。あの犬神家の事件と時代をリンクしていたわけです。虚構入り混じっていますが。さて、1947年といえば、ストラビンスキーもシェーンベルクもリヒャルト・シュトラウスも存命中でした。ちなみに“犬神家の一族”は市川崑監督の映画も名作ですが原作もお勧めです。読み始めたら止まらなくなってしまうのが難点ですが。
この1947年という混沌とした地層を「音楽的」に掘り下げてみると、実に凄まじい大激動の時代であることが分かります。
日本では笠置シヅ子さんがエネルギーを爆発させていたその瞬間、ヨーロッパやアメリカでは、あのストラヴィンスキーが新古典主義の傑作を世に送り出し、シェーンベルクが十二音技法という革新的な新時代の扉をドカンと叩き、リヒャルト・シュトラウスが最晩年の気高き美を紡いでいたのです。
犬神家のおどろおどろしい因習の舞台裏で、クラシック音楽の歴史もまた、古い殻を脱ぎ捨ててマッハのスピードで未来へとテイクオフしようとしていたわけです。
