牛

2017年8月1日

朝霞市・新座市Sumiピアノ教室です。こんにちは。

いつも通る道沿いのお宅から時々ピアノが聴こえてきます。電子ピアノの音色であることは以前より分かっていたのですが、ある時気付いたのです。いつもノンストップ超高速演奏ということに。譜読み中の練習音や音色作り中の超スロー練習、部分練習が聴こえてきたことが1回も無いなぁ。電子ピアノでは音色作りが出来ないにしても。

もしかして、譜読み中はヘッドホンで練習しているのかも。このお宅の方に限らず、そのような練習方法が存在しているのかもしれません。

音楽月刊誌だったか著名な指揮者かピアニストの著書だったか、家で子どもが部分練習をしている時、お母さんから“壊れたレコードみたいに何回も同じ所ばっかり弾いてないで、ちゃんと練習しなさいっ!”と怒られたというエピソードを昔読んだことがあります。壊れたレコードは今の若い衆には分からないかもしれないけど(苦笑)。

人に聴かせるための演奏と人に聴かせるまでに仕上げていくプロセスは全く別のものです。牛練習、壊れたレコード練習こそが練習なのに、それを周囲も本人も無価値、ヘタクソ!と捉えてしまっては伸びるものも伸びなくなってしまいます。

ご家族は、流しそうめんのようにツルツル流れていかない音を1日中聴かされるのは苦痛かもしれません。でも、楽器の習得、芸術に身を置くということは、日々の細かい練習の積み重ねが全てなのです。ヘッドホンで音を聴く習慣は、耳と身体への影響から即刻止めましょう。近隣配慮ならボリュームを絞るか、どうしてもヘッドホンが必要ならば、ごくごく短時間の利用に。

ピアノは脳に良い、ピアノを弾く子は頭が良い、このフレーズがピアノ教育界に流行ったことがありますが、ピアノを習いに行けば誰でもお勉強の出来る子になれるということではなく、どのような練習方法が習慣化され蓄積されていくかという意味がそのフレーズに含まれていると私は思っています。

地味な練習を毎日コツコツ重ねて行くことは根気と集中力を要します。その集中力が学習でも効力を発揮するのです。中学や高校に進んでもピアノを続けてきた卒業生達には、都立トップ高校や国立大学に進学した子達も居ました。ウン百万~ウン千万単位の賞金を稼ぐ、とある業界の有名人になった子も居ます。勿論、進学先の偏差値が人としての価値を決定するものではありません。集中力の先には無限の可能性があるということをお伝え出来れば幸いでございます。