朝霞市・新座市Sumiピアノ教室です。こんにちは。
学校での伴奏オーディションについて時々記事をUPしています。どんどんチャレンジして欲しいと思う反面、まだ手指や身体が完成していない小学校低~中学年の課題曲に疑問を感じることもあります。
学校で渡される伴奏譜は超絶技巧が出てくる訳ではないけれど、身体の成長スピードと明らかに相反する内容の曲が少なくないのです。元々大人が演奏する前提で書かれている曲が多いように感じます。例えば、オクターブが届くか届かないかの小さな手をムリに広げないといけない、よしんばオクターブが届いたとしても中に二つ音が入っている和音が連続で出てくる等々。
昔は指と指の間(水かき部分)を柔らかくして広げなさい、ストレッチしなさいと言われたものですが、それはあくまでも昔の方法です。水かき部分は、お風呂に入った時に無理やり広げずモミモミする位なら良いとは思いますが、人間の手を扇状に横方向にビローンと無理な力を加えて広げ続けたらどうなるかといえば故障一直線です。横一列に真っ直ぐ規則的に並ぶ固い鍵盤に対して、人間の手は柔軟性を持って、かつ3D的に動きを捉える必要があります。重ねてピアノは手だけで奏する楽器ではありません。
また、伴奏譜に書いてある内容は身体の成長に合わせてカスタムが必要ではないでしょうか。一例ですが、伴奏譜によくあるズン・チャ・ズン・チャのズン部分は根音(ベース)で、チャの部分が手をギッチギチに広げなければいけない和音の場合、和声学的に省略しても間違いではない音を省いて弾けば良いのです。その判断は私たち専門家に相談してください。もし、省略が許されない、厳格であることが求められるという場合はオーディションそのものを見送っても良いのではないでしょうか。
というのは、手指に負担をかけるオーディション曲の練習をきっかけに普段レッスンで伝えていることが全く出来なくなってしまったり、力みが酷く、脱力が全く出来ない妙な悪癖が抜けなくなるというケースが実際にありました。それが故障の前兆であることを本人は自覚出来ないまま成長がストップしてしまったのです。修正を促しても直ぐ次のオーディション曲に追われるという繰り返しでした。身体の成長と自身のレベルに見合わない曲が課題となった場合、オーディションについては長い目で捉えることも大切です。