花の香りの如く。譜読みのお話

花の香りの如く。譜読みのお話

2017年7月18日

朝霞市・新座市Sumiピアノ教室です。こんにちは。

ピアノをはじめ、楽器の習得は練習、練習、練習、それ以外に手段はありません。勿論、練習内容には様々なアプローチがありますが。

新しい曲に取り組む時、最初にすることは譜読みです。初見でスラスラ弾ける曲もあれば、非常に時間を要する難曲もありますが、譜読み段階でYou Tubeを見て分かったつもりになっては×です。聴くならプロの演奏を少なくとも3種類以上。他人の物真似がピアノを弾く目的でない限り、最初にザッと聴く程度で何度も繰り返し聴く必要はありません(入門~初心者の場合)。

譜読みは根気と集中力を要します。根性という言い方も出来る。この段階は牛歩テンポが基本です。だから根気および根性が必要。譜読み段階から速いテンポで弾いてしまう弊害は、音色を作る耳が育たないということ。そして行間を読むじゃないけど、音楽の細部、楽譜の細部を読み解く力が全くつきません。臨時記号を落っことす、楽譜と違う音を弾いている、音色が無い、何より自分の音を全く聴いていないことが直ぐに分かってしまう。指をグルグル回すことがピアノを弾くことではありません。ピアノは耳で弾くのです。耳で音をブレンドしているのです。

譜読みに時間を要する難曲に挑んでいる時、なかなか先に進めず、一体いつまでこれが続くのかとゲンナリすることもあります。でも、そんな日々を重ねてきた或る日、ふと、風に乗って花の香りが漂ってくるかのように、遠い異国に居る会ったことも無い作曲家や、100年も200年も前に亡くなっている作曲家の思いに触れる瞬間があるのです。それは魂のとろけるような至福感。

音楽が太古の昔から存在している理由は、人々に幸せをもたらしてくれるからです。作曲家は何故こんな神がかりな作品が書けるのでしょうか。どこかにこんこんと湧き出る泉のようなデータベースがあって、それを地上に降ろす筆先を担っているのが作曲家という人達、そんな風に私は思っています。

100年後も1000年後も音楽は間違いなく地球上に存在し、人々に幸せをもたらし続けていることでしょう。未来の音楽もきっとデータベース上で出番を待っているに違いありません。