運命が扉を叩くスター・システム

2019年11月9日

朝霞市・新座市Sumiピアノ教室です。

ベートーヴェンの代表作、交響曲第5番『運命』。冒頭部分の所謂ジャジャジャジャーンはあまりにも有名なモティーフです。この4音のモティーフ、ベートーヴェンの他の作品にも使われていることをご存知ですか。小説や映画で言うところのスター・システムというのでしょうか。

ピアノソナタの中にも隠しテーマ、或いはフィッシャーのトロンプ・ルイユの如く、このモティーフに遭遇することがあります。ベートーヴェンの作曲家としての生涯を共にする大切なモティーフだったに違いありません。

ベートーヴェンはご存知の通り、中途失聴という筆舌し難い困難に襲われます。甥と弟に宛てた『ハイリゲンシュタットの遺書』では苦痛、孤独、困難を綴るとともに、ベートーヴェン作品に触れるうえでの真髄の一文があります。

 

死から私を引き止めたのはただ芸術である

 

 

平穏とは対極な人生の中で、ベートーヴェンの眼差しの先には希望があったのではないかと作品を通じて感じるのです。
先日、私自身のレッスンで先生に質問をしました。なぜベートーヴェンは苦しみの渦中にあって幸福感の溢れる作品が書けたのでしょうか?と。先生は音楽を愛していたからでしょう、とお答えくださいました。

ベートーヴェンには生涯をかけて芸術を希求する揺るぎなき才能があったのです。だからこそミューズ神(=芸術の守護神)に愛されたのですね。