ショパンコンクールとエキエル版と
朝霞市・新座市Sumiピアノ教室です。こんにちは。
台風一過、今日は気持ちの良い秋の青空が広がっています。風に乗って金木犀の良い香りも漂っています。地球は自らもグルグルと回りながら太陽の周りを1年周期で回り、こうして季節は廻っていくのですね。
さて、いよいよ明日10月3日よりショパンコンクールが開催されます。日本人のコンテスタントは予備予選を通過または国際コンクール入賞により予備予選を免除された合計14名です。ネット配信によりワルシャワ発の演奏を日本でもリアルタイムで聴くことが出来ます。時差のためジェットラグは必至ですが、1年延期となった6年ぶりに開催される待望のコンクールに世界中の注目が集まっています。可能な限り配信を聴いていきたいと思います。
ジェットラグを少しでも防ぐ方法は太陽の光を浴びることだと読んだ記憶があります。日本から遥か東側に位置するNYは13~4時間のフライトを経ても出発と到着の時刻がほぼ一緒という現象が起きます。つまりは昼夜がひっくり返るので体内時計の調整をかなり意識的に行わないと、せっかくMETオペラでヨナフ・カウフマンが出演する『椿姫』を聴きに行っても、“乾杯の歌”以降に抗いがたい睡魔に襲われ、目が覚めた時にはビオレッタが絶命していた…そんな何ともな経験をしてしまうこともあるでしょう(←実話)。西側のヨーロッパから日本に帰国した時は逆で、日本に到着してからジェットラグと戦うことになりました。その度合いは体質にもよるそうですが。
ジェットラグのことはさておき、全てのコンテスタントが万全のコンディションで恐らくは一生に一度の舞台に臨めるよう、遠くから応援を送りたいと思います。
ショパンコンクールの推奨版であるエキエル版の日本語版が今年の5月以降、順次発売されています。先日、手に取って実物を見るチャンスがありました。表紙には日本語が。なんとも新鮮な感覚です。パデレフスキー版もコルトー版も今は日本語版が出ています。今や、お若い世代は日本語版での勉強が当たり前になっていることでしょう。ミクリ版の日本語版は出ていないようです。
演奏において、原典版と信頼のおける複数エディションを比較考察していく作業は必要不可欠なプロセスです。考古学の発掘作業または謎解きのようなこのプロセスが本当に面白いのです。今はこの世に居ない作曲家が楽譜を通していろいろなことを語りかけてきてくれるからです。
コンクールはコンテスタントの一人一人が作曲家とどのような対話を重ねてきたのかが伝わってきます。明日からの演奏が楽しみです!